コダマ司法書士行政書士事務所 スタッフブログ

2014.04.09

【ヒロセ】 ヒロセの雑感

 こんにちは。専務(たけお)さんとおかみ(ふみえ)さんがお休みのため、少し早いローテーションですが、また事務スタッフヒロセの順番となりました!

 昨日の所長の記事で花粉症の話がありました。私は花粉症持ちでないのです(少なくとも信じてきました)が、所長の症状を聞くうち、普段はコンタクトレンズを装着している私も、最近、目がやたらムズムズするのを覚えたので、実は花粉症デビューしてしまったのではないかと危惧しております。

 ところで、スタッフの私的一面をお届けし、スタッフの人となりを皆様に知っていただくのが当事務所スタッフブログの趣旨ですが、「たまには真面目な話もしようか」ということになりまして、今回のローテーションでは割と真面目なお話がメインになるかと思います。第一号として私が選ばれたので、若干責任重大ですね(笑)

 では、早速「ヒロセの雑感」として、勉強や日々の生活の中で関心を持った事柄をづれづれなるままに書いてみようかと思います。あくまでいち受験生の個人的見解ですので、御寛大な心でお付き合いくだされば幸いです。

 今回のコンテンツは、①著作権関係の話、②本日新聞で見た記事に関する話です。

 著作権関係の話

 専務(たけお)さんの記事でもありましたが、ゴーストライター問題論文のコピペ(コピーアンドペースト。引用のルールを守らずにそのまま自己の文章として他人の文章を貼りつけること)問題でニュースとなっていますね。ヒロセは大学院時代に知的財産法も履修していたのですが、知財法履修者にとっては、これらの問題は結構法律的に興味深いものでもあります。

 まず、「コピペ」がなぜいけないのかというと、文章などの「著作物」の著作者は、著作権といういろいろな権利を束ねた財産的権利を有しています。その権利の一つに「複製権」(著作権法第21条)があります。

 複製権は、「複製」行為について著作権者に独占的権利を与えるものです。つまり、権利者の許諾なくして「複製」に当たる行為をしてしまうと、複製権を侵害することになります(著作権法は著作権侵害行為について罰則規定を用意しているので(著作権法第119条)、刑事罰を科される可能性もあります)。著作権法は、創作的な表現を保護する法律なのですが、「複製」とは、その「表現」と実質的に同一なものを「有形的に再製する」行為をいいます。コピペは、「表現」そのものを自分の表現として文章化する行為といえるので、「複製」に当たるといえるでしょう。つまり、コピペは複製権侵害を構成する可能性があるのです。

 ただし、例外的に複製権侵害とならない場合の1つとして、「引用」があります。「引用」として認められるための要件は、著作権法第32条に記載があり、①公表された著作物であること、②「公正な慣行に合致するものであ」ること、③「引用の目的上正当な範囲内で行われること」が挙げられます。②・③の要件としては、判例・裁判例において、引用して利用する側の著作物と引用されて利用される側の著作物とを明瞭に区別して利用できること(明瞭区分性の要件)、引用する側の著作物が、主であり、引用される側が従の関係にあること(主従関係)であると解釈されています。そのままの「コピペ」が、引用の要件を満たすとは到底いえないでしょう。

 もっとも、そもそも複製権といった著作権が認められるためには、論文、とりわけ引用部分の表現が「著作物」に当たらなければなりません。そこで論文の表現が「著作物」に当たるのかという問題もあるのですが、これに関する記載は、紙面に限界があるため、ご要望があれば詳述しようかと思います。

 次に、ゴーストライター問題ですが、これは、その作品(著作物)の著作者はだれかという問題です。もちろん、作品を作った人(ゴーストライター)が基本的に単独で著作者となるのは明らかです。しかし、「指示書」のような形で関与した人がいる場合、その人も著作者になりうるのか(つまり、共作になるのか)という問題が出てきます。

 この場合、当該作品が「共同著作物」にあたるのかという問題です。著作権法上、「著作者」とは、著作物を創作する者のことをいうとされているからです。共同著作物に当たるためには、①「二人以上の者が共同して創作した著作物」であること、②「その各人の寄与を分離して個別的に利用することができない」ことが要件として必要となります。

 特に、「指示書」の場合は①の要件が問題になると思われます。なぜなら、「共同して創作した」と言いうるためには、共同創作と共同創作の意思が必要であると解されています(中山信弘『著作権法』(有斐閣,2007年,初版)167頁)。そして、「共同創作」も、表現の創作に実質的に関与することが必要であるとされているため、果たして「指示書」に基づく指示が「表現の創作に実質的に関与した」といえるのかが問題となりそうです。立証方法等どのようにするか非常に難しい問題だと思います。

 他にも想定される問題は多々ありますが、紙面の都合上、このあたりで自粛しようと思います(^-^;)

② 本日新聞で見た記事に関する話

 私が利用している「日本経済新聞 電子版」の2014年4月9日付電子版限定記事によると、宇都宮家裁が特別養子縁組を実親の同意なくして、「子供の福祉のため」縁組を認める決定を2月10日付でしていた(4月2日確定)らしいです。

 特別養子縁組とは、「実方との親族関係を終了させ,養親を法律上唯一の親とし,養親子関係を実親子関係に限りなく近接させる」(前田陽一・本山敦・浦野由紀子『リーガルクエスト 民法Ⅵ 親族・相続』(有斐閣,2010年,初版)154頁)ような養子制度のことをいいます。特別養子縁組においては、原則として実親子関係が終了する(つまり、生みの親とは法律上赤の他人ということになる)ことから、その成立要件が厳格にされています。具体的に、その1つとして、民法では、養子となるものの父母の同意が要求されています(民法817条の6本文)。

 ただし、例外的に同意が不要な場合があり、民法はそれを「父母がその意思を表示することができない場合又は父母による虐待、悪意の遺棄その他養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合」としています。「悪意の遺棄」とは、正当理由なく両親が親としての義務を履行しない場合をいうものと解されます。

 記事によると、上記宇都宮家裁は、この「その他養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合」があると判断したらしいです。具体的にどのような解釈・事実認定の上でこの場合に当たると判断したのかは、判決文をまだ読んでいないので分かりませんが、子の利益を重視したうえで要件の厳しい特別養子縁組を認めたのであれば、積極的な判断であり、評価できると思います。判決文を入手できれば目を通してみたいです。

 ちなみに、特別養子と普通養子の大きな違いは先述の通り、実の親子関係が解消するか、それとも解消せずに存続するのかという違いがあります。普通養子は、実の両親との親子関係を存続させた上で、養親とも親子関係を成立させるものです。それゆえ、相続の場面において、普通養子は、養親の死亡により養親の相続人になり、かつ、実の親の死亡により実親の相続人にもなりえますが、特別養子縁組は養親のみの相続人となることになりますね。例えば、実親の死亡に伴い相続人の間で遺産分割協議をするという場合には、普通養子の方場合には注意が必要となります(戸籍から離れていても協議に加える必要はありますからね)。

 以上、個人的に気になったことを自分の知識総動員で検討してみました。あくまで一受験生の個人的な見解ですので、ご参考程度に「へぇ、そんな問題もあるんだー」位の程度にとどめていただけたらと思います!

 今回もヒロセの長文にお付き合い頂きましてありがとうございます。明日は長埜さんが更新してくれる!…はずです(笑)

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